星乃トラコは眠りたい。

小説を書いて一発当てて犬を飼って寝て暮らす。それがわたしの最終目標。

失くし物を探し当てる能力

今週のお題「もしも魔法が使えたら」



昔は空がとびたかった。「翼をください」の歌詞みたいなことを割と本気で思っていたし、ある年になど、サンタに頼んだりした(笑)。ありゃ小学校低学年の頃だったか中学年くらいだったか。冷静に考えると幼すぎてちょっとヤバいガキだったのではないか。

成人したどころか三十路に突入した今でも類することはよく考える。ただし、ハンググライダーの体験教室だのをひと通り経験してみて、「トラコが好きなのは向かい風を正面から浴び続けることであって空を飛ぶこと自体は別に好きじゃない(むしろ足場のない浮遊感には恐怖心を煽られる)」ことがわかったので、空はもうそれほど飛びたくない。類することというのはつまりテレポート能力が欲しいということで、遅刻魔トラコはこれがマジで喉から手が出そうに欲しい。

だが、それすらも本命ではない。真の本願が叶うなら、テレポート無くしても人生はより豊かになりうるのである。

その本願こそ、タイトルにも書いた「失くしもの・見当たらないものを探し当てる魔法」である。

だいたい想像がつくと思うが、そんな魔法を本願として望むトラコの部屋はきったない。トラコは大変な、それはもう大変な片付け下手だからだ。

生半な片付け下手ではない。ほんのちょっぴりだけ具体的に言うと、片付けのできなさが遠因になって100万円を超える現金を喪失したことがある。収納アイテムを買いすぎて散財、とかではない方法で、である。片付けが上手いとまでは行かなくても人並みにできていたら、そんなことはきっと起こらなかったであろう、というような無くし方であった。この件について考え続けると俄かに希死念慮が沸き起こって危険なので詳細は伏すが、とにかくそういったレベルでトラコは片付けが下手くそなのである。


そして上記と矛盾するようだが、そんなきったない部屋だがトラコは何がどこにあるかをほぼ完全に把握している。というか、きったない部屋だからこそ、何がどこにあるのかを把握できなければ生活できない。

把握できていないものは今までで只ふたつ、上記の現金とポケモンGOPlusのみである。

そう、こんなにポケGOにハマっているのにいつからかポケGOPlusが見当たらない。うん十年前、初代ポケモン大ブームだった頃に手に入れた愛ポケのキーチェーンみたいなやつをくっつけて大事にしていたのに完全に行方不明なのである。

ポケGOPlus自体は最悪買い直すという手もあるが、うん十年前のガチャの景品のあのキーチェーンは今更いくら積んで何処を探そうと買えはすまい。もはやどっちかというとあのキーチェーンが惜しい。

外で落としたということは考えにくい。ポケGOPlusにキーチェーンをつけてはいたがポケGOPlus自体はバッグにつけるとか腕に巻くのではなく、常に直接手に持って使用していた。そして当時トラコは外出中、基本的にポケGOPlusから手を離すことはなかったのである。それくらいには狂っていた。多分今見つかってもまた狂うであろう。

それはたいそう幸せな狂気で、高揚だとか多幸感といったものとほとんど区別がつかない。

なので、トラコは部屋を片付けるとき、いつも祈るような気持ちでいる。

かみさま、どうかポケGOPlusを見つけさせてください。

わたくしに幸せな日々をお返しください。

と。